スリランカ出身の建築家ジェフリー・バワの魅力

■ジェフリー・バワとは?

スリランカでの国民的人気を誇る有名な代表する建築家ジェフリー・バワ。
トロピカル・モダニズムの第一人者と言われている。
トロピカル・モダニズムと呼ばれる一風変わったスタイルに魅了される人が世界中から後を絶たない。
直線的なラインに洗練された木材に、広い空間。
彼の造り出す風景にはたった1mmさえも無駄が無いのだ。

■バワ建築の特徴

自然をできるだけ空間に取り入れる事。
室内と屋外が繋がっているような不思議な開放感と直線的なライン。
熱帯のような樹木が多用され、その木のぬくもりが何より特徴的でそこに存在する光と陰と黒と白。
バワの建築物は外と内を隔てる要素が全くと言ってないのだ。
家の中にいる時間でさえも、
光を感じていたい。
雨を感じていたい。
風を感じていたい。
バワの自然を愛する心の表れなのだろう。

■ヘリタンス・カンダラマ

コロンボから車で約4時間半。
自然に覆われ、カンダラマ湖の側に建つ自然と一体化するホテル「ヘリタンス・カンダラマ」。
バワ建築の中で最も有名だとも言われている建築物でありホテルだ。

世界中のセレブリティーから愛されるホテル界の最高峰の1つでもあるアマンリゾートの創設者、
エイドリアン・ゼッカ氏がヘリタンス・カンダラマに魅了されたことが
近年のバワ建築への興味に多大なる影響を与えたと言われている。





レセプションは開放的な白が印象的。
緩やかな階段や通路は岩で形成されており、まるでそこは洞窟のようなそしてシギリヤロックを彷彿とさせる。
チェックインの際に花を一輪をプレゼントされた。



廊下の先にある階段には、飾りっ気のない美しく色褪せた小さな机と椅子が置かれている。
バワの私物だとの事。
カンダラマ湖を眺めるように置かれたその椅子に座って見る景色は心に深く刻まれる。



このホテルは全長1kmもあり、
シーギリヤ・ウィングとダンブッラ・ウイングに分かれている。
バワがコンセプトの1つとして意識していた”直線的なライン”とはまさにこのような事なのだろう。
大きなフクロウの彫刻もとても印象的で大迫力。
バワお気に入りの彫刻家、ラキ・サナナヤキの作品だ。



「やがてこのホテルは木々に覆われ、自然に還るだろう」
目にした時に息を飲むような美しさ。
こんなにも自然と一体化し、溶けそうにさえある”建物”は見たことがない。
まさに、自然と建築が共生しているとしか言いようが無い。



ホテル内にはプールが3つあるが、
メインプールはカンダラマ湖と一体になっている錯覚に陥るインフィニティプールだ。
近年人気でいろんな世界中のホテルに用いられているインフィニティプールだが、
バワこそインフィニティプールの生みの親なのだ。
バワにとっては自然と一体化する上でごく自然に生み出したものなのだろう。
ここから眺めるサンセットはとても美しかった。







部屋はいたってシンプル。
家具は無垢材で統一されており、とても落ち着ける空間になっていた。

このホテルの空気を感じる為にスリランカを訪れる事は、
もしかすると今の私達日本人にはとても大切な事なのかもしれない。

■Number11



コロンボにあるジェフリー・バワの自宅、Number11。
この自宅はバワによって約30年も改築され続けたこだわりの自宅。
もちろん自宅もホテルと同様に、自然の魅力と室内と屋外が繋がっている開放感が感じられる。







とにかく壁も床も真っ白だ。
床には光沢があり、また雨を感じた際に流れていくような特殊なペイントが施されている。
家の中に”外”が入り混じっている空間はやはり不思議な感覚に陥り見入ってしまう。







廊下にはガラスでできたライトや壺や絵画が置かれている。
ガラスはイタリア製、壺は中国製。
そしてオーストラリア人の画家の絵に日本人の画家の絵も飾られていた。
無国籍なアートコレクション。



ここにもフクロウが。



廊下から寝室に行く通路は”外”になっている。
バワにとって寝室はとても神聖な場所だった。
その寝室に行くには自然の中を通っていく必要があったのだろう。
そしてベッドから見える視界の直線ラインの先には壁一面の窓から大きな木が見えるように設計されていた。



Number11に訪れるには予約が必要です。
約1時間ガイドの方が詳しく説明してくれます。
とても有意義な時間になると思うので、
是非いつか、訪れてみて下さい。